TOON BLOG

2017年4月より愛媛県東温市に移住しました。

これからのまちづくりに、なぜ「文化芸術」が必要か?

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愛媛県東温市は、自然豊かで「住みやすい」まちなのに、県外ではほとんど知られていません。

そこで、その良さを知ってもらい、訪れてもらい、楽しんでもらうために、文化芸術を中心としたまちづくりを進めようとしています。

 

個人的にも、まちづくりに文化芸術って必要だと思います。

なんとなく、アートのある街っていいなと思います。

なんとなく、これから大事なんじゃないかなと思います。 

 

なので、「アートヴィレッジ」という名前だけ先行して、そのためにどうするか?ばかり考えてしまっていた気がします。

 

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けど、もう少し説得力のある形で、なぜ文化芸術が地域に必要なのか?って伝えられないとなー…と思うので、勉強したことなども書いていければと思います。

 

芸術の社会的な役割ってなに?

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先日、平田オリザさんの講演を聴いてきました。

(嘘です。体調を崩していけなかったので、本など読ませて頂きました。)

 

そのなかで、「文化芸術は、究極の公共事業である」という言葉がありました。

 

 

自分は、芸術分野にあまり関わってこなかった人間で、絵を描くことも、表現することも苦手意識があります。

 

けど、全く関わっていないと思いながらも、映画に心動かされたり、音楽に勇気づけられたり、っていうのは子供の頃からありました。たぶん、多くの人はそうなんじゃないかと思います。

 

芸術として理解していなかっただけで、音楽はもともと五線譜の上で書かれたものであって、長い歴史の上にあるもの。大衆音楽などの娯楽性のあるものでも、根幹には文化芸術があります。

 

震災が起こったときに、アーティストが被災地へ出向き、演奏したり交流したりと被災者の方々を励ましました。

 

勇気づける、元気づける

新たな視点をもたらす・・・

など、目に見えない形の役割が芸術にはあります。

 

 「いま芸術家が作品を生み出し続けなければ、50年後や100年後の人たちは誰が励ますのか」

と平田さんは語ります。

 

 芸術家の方々は、息の長い公共財を作り続けているのです。

 

そういった、目先の経済活動という視点だけでみると一見ムダに思えてしまうかもしれないけれど、長期的な視点で大事なものが「文化芸術」にはたくさんあると思います。

 

▼直接的な芸術の役割

 

東温市のアートヴィレッジ構想の中に、拠点施設内に「アートセラピー」を行う場をつくるというものもありますが、近年では、ダンスセラピーなどもあるように、医療福祉の分野でも芸術分野が用いられます。

 

※アートセラピーとは↓

アートセラピー - Wikipedia

 

そういった直接的に社会の役に立つ側面も文化芸術には存在します。

それは、教育や観光、経済でも言えることです。

 

地方ほど、文化行政が大事な理由

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いわゆる地方と呼ばれる場所にこそ、文化行政が必要だと思います。

「心を豊かにする」とかそういった程度で軽んじられるべきではないです。

 

公共事業って、市民からすれば、道路つくったり、ダムをつくったり、、といったイメージが強いです。

 

けど、今の時代は、たとえば建設業が儲かっても、そこで働く方々がお金を落とすのは、外からやってきた大型ショッピングセンターやコンビニ、Amazonなんです。これじゃ地域の商店街は賑わいませんね。。公共事業を行なっても、最終的な消費の先は東京や海外の資本だったりするのです。

 

だから、地方はほんとうに力をつけなければいけません。

地域でつくったものを、地域の人が楽しむ、付加価値をつけて外に発信していく。

  

そのために必要なのが、文化芸術に触れることで養われるようなアイデアやコミュニケーション能力、国際性、柔軟性のようなものではないでしょうか。

 

そこにある文化は何なのか、その魅力は何なのか、そこにどう付加価値をつけるのか、、そういった他の地域との違いを見つけて発信する力がいると思います。

 

先日、関西圏に行ってきたのですが、都会の子どもたちは、そういったセンスを磨くような機会はたくさんあります。

 

ですので、ここに地方の行政が力を入れないと、東京など都心へ人が流れるのは避けられないかもしれません。

 

もちろんそれは、芸術だけでなく、海外の方々とコミュニケーションをとることや、スポーツをすること、自然に触れることなど、いろんなことが考えられます。

 

そういった機会をたくさん保証し、文化的な素養が育っていくまちにすることが行政が手を貸すべき部分かと思います。

 

芸術文化施設の「サードプレイス」としての役割

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現在、アートヴィレッジ構想とは別に、誰でも気軽に入れるサードプレイス的な役割として、「横河原ぷらっとホーム」という交流拠点のスタッフをさせていただいています。

 

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これからできていく予定のアートヴィレッジ拠点施設でも、こういった社会参加の場としてや、コミュニティ形成の場としての役割が重要だと思いました。

 

関西圏のアート関連施設をまわりましたが、やはり、「地元に愛される、地元の方々が足を運ぶ」という点は外せません。ですので、外から珍しいものを持ってくるだけにはならないようにしたいです。

 

※例えば、神戸アートビレッジセンターさんでは、フリースペースがあり、地元の方々が多数利用されているようでした。

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 その他、どのアート関連施設にもカフェスペースがあり、オープンな場として使われていました。

 

どこに暮らしていても安いものが手に入ったり、便利になりましたが、この効率性や利便性を重視した社会で失われたものが、ちょっとしたコミュニティだと思います。

経済的な活動だけでは出会うことのない、地域の変な大人(いい意味で)に関わる場所としての役割が、劇場や音楽ホールだったり美術館、図書館などだったりします。

 

個人的にも、演劇など観にいくようになり、おもしろい方々とお会いするようになりました。

こうしたつながりの接点としても、文化活動や芸術活動は重要な役割と果たすのだと思います。